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遙かなる時空の中で 夢浮橋(通常版) サンタクロースっているんでしょうか? トーマの心臓 (小学館文庫)




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 w*k
兄アニ^^ MarvelousAQL Inc.さんの
ウェブカレ二次創作ガイドライン
により、画像引用
並びに、現在創作中です

 - * - 

*TFC

古川登志夫さんを応援しています♪
 『あるがまま』という生き方に共感
 してしまった人(私=193)による、
 きまぐれ〜なところです。

   では、早速・・・
   肩の力を抜いて、ひと休み♪
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    | 2020.02.06 Thursday | - | - |

    // N // 245
    00:01
    // 向いてない muitenai //

    いつものレッスンを受けるため、
    スエンセン教授の練習室に、クリスティーヌは来ていた。

    「この間出しておいた課題を、自由に弾いてごらん。」
    そう指導されたはいいが、なかなか思う様にいかない。
    クリスティーヌの音を、スエンセンはただ耳を傾けて拾う。
    間違えようが、つまづこうが、口を挟んでこない。
    緊張で震える手を、自分で慰めながら、懸命に動かす。
    そんなこんなで、時間だけは十分に費やしていたのだ。

    (弾けないわ。)そんな弱音と、
    (何とかしなくちゃ。)役割を果たさなくてはいけない
    という想いの葛藤で――
    (情けない…私。もう、指を運ぶのは無理。)

    「ふぅ――……」
    クリスティーヌはピアノの手を止め、窓の外に視線を移した。


    ややあって、あたりに何ともいえない芳香が漂いだした。
    「リッチモンド君、お茶にしないかね。」


    *
    「何か、あったのかい?」
    「いえ。何も…ありません。」

    「ただ、私、ピアノを弾くのは、向いていない気がするんです。」
    「そんな事は、無いよ。上達しているのは、明らかだからね。
    心配はいらない。君の想う様に弾いてみたまえ。」
    「ありがとうございます。教授。私、……彼に…」

    「シュクール君の事かな?」
    彼女の歯切れが悪い言葉を続けさせたくなくて、
    思い当たる節を挙げた。
    「自分の………いえ、忘れてください。
    教授のお時間を取らせてしまって、すみません。」

    「それは、寂しい事だね。
    私にできる事は、確かに限られているけれどもねぇ。
    でも、楽器ある所で知り合ったもの同士だから、遠慮は無用。
    君の話し相手くらいには成れるつもりだからね。
    誰でも通る道だ、恥じる事など無い。」


    「こんな私も妻とインターグレで出会って、いろいろ悩んだからね。
    分不相応――つまり、身分違い――の恋でね。
    彼女は、貴族。私は、音楽に現を貫かす田舎者。
    在学中から、彼女は私の研究の理解者で、
    私達は、情熱だけで一緒になった、私の卒業と同時に。…」
    「あの、待ってください。教授、個人的なお話をお聞きするわけには…」
    クリスティーヌは、話を遮ろうとした。
    が、スエンセンは、静かに首を振った。
    「いや、君だから話しても良いと思う。聞いてくれるね。」

    「彼女との暮らし初めは、散々なものだった。
    彼女の生活基盤を変えたくないという一心で、今の家を手に入れた。
    でも、収入の無い私には重い荷だった。
    お嬢様育ちで虚弱体質だった彼女は、
    家事の一切を連れて来たメイドに任せた。
    私は、彼女らを養う為に、職を探した。
    どの方面にも伝手(つて)の無い私は、ピアノの教師を始めた。
    彼女は、笑って私を送り出してくれた。
    だが、無名な私を雇ってくれる程、世間は甘くなかった。
    生活を切り詰め、細々と日々を送っていた。」

    スエンセンの顔面(かおおもて)は、苦痛に曇った。
    「どうしようもなく困った事があった。
    彼女の体調が悪化したんだ。医者に掛かる金も無い。
    腹を括って、恩師を訪ねた。苦笑いで迎えられた。
    だからやめておけ
    と、言っただろうと、言わんばかりの目で見られたよ。
    どんなに馬鹿にされようと、引き下がらない決心。
    どんな仕事でも良いですからと言おうとした時だ。
    君の奥さんのご実家とは縁がある、とそっと手を握って、
    このインターグレに職員として入った。天の助けだと思った。」

    クリスティーヌは、話の行方をただ見守った。
    「私は、彼女に随分苦労させてしまった、生活面で。
    それでも、彼女は私の傍らに居てくれた。
    心の支えが有る、というのは凄いものだね。
    諦めようとしていた、音楽の道も捨てずに済んだ。
    彼女は最後まで、私を愛してくれた。私は今でも、彼女が愛おしい。」

    「まあ、教授ったら。」
    「こんな話をするのは、恥ずかしいからね。
    シュクール君にも、他の誰にも、内緒にしておくれよ。」
    「はい、教授。――私の話も聞いていただけますか?」


    --------------
    <ツブや記>
    参照>>
     第3章 C N77 // 待ち人 matibito //

    登場人物>>
     クリスティーヌ・リッチモンド
     ジュリアーノ・スエンセン

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      | 2010.09.17 Friday |   ・// N // | - |

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        | 2020.02.06 Thursday | - | - |