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遙かなる時空の中で 夢浮橋(通常版) サンタクロースっているんでしょうか? トーマの心臓 (小学館文庫)




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 w*k
兄アニ^^ MarvelousAQL Inc.さんの
ウェブカレ二次創作ガイドライン
により、画像引用
並びに、現在創作中です

 - * - 

*TFC

古川登志夫さんを応援しています♪
 『あるがまま』という生き方に共感
 してしまった人(私=193)による、
 きまぐれ〜なところです。

   では、早速・・・
   肩の力を抜いて、ひと休み♪
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    | 2020.02.06 Thursday | - | - |

    // N // 160
    21:40
    // 紅色の思い出 beni iro no omoide //

      それは、3月の初め。
      僕のレッスンを見学に来た女の人がいた。

    *
    インターグレ・ミケール小学部で、楽器の科目があって、
    僕は、フルートがお気に入りだった。
    大きなピアノは、持ち運ぶ事はできないが、
    小さなフルートは、僕の小さな手にも、じゅうぶんな大きさで、
    息を吹き込めば、何処でだって、音を楽しめる。

    高学年になって、憧れの
    普通サイズのフルートに持ち替えた。
    初めは、なかなか手元がおぼつかなかったけれど、
    いつしか僕は、銀色の輝きに夢中になっていた。

    *
    「今日は、先生の友人が観ているけれど、
    普段通りレッスンしょう。」

    僕担当の先生は、男の人だ。
    その女の人は、ジッとズッと僕を見ていた。
    唇や喉が渇き、指先がごわつき、緊張が高まる。

    「ロマリオ、落ち着いて。もう一度初めから。」

    僕は、深呼吸して、目を閉じた。
    静かな空間に、音を放つ。

    「レッスンは、これまでです。」
    そして、女の人は帰って行った。

    **
      それは、4月の半ば。
      親が呼び出されて、インターグレに来ていた。
      
    *
    「今日来ていただいたのは、進学についてです。」
    「あの、先生…」
    親から言いつけられた期間、小学部で学習を終えるつもりだった
    ので、僕は上を目指すなんて全く考えていなかった。
    「ロマリオ君、解ってる。話を聞いて。大事なお話ですから。」
    僕は、黙るしかなく、事の成り行きをジッと見ていた。

    「それが、突然の呼び出しの理由ですか?」
    仕事のある父に代わって、来ていた母が口を開く。
    「はい、是非に。大学部へ上がって頂きたいのです。」
    先生は、言った。
    「どういうことですの?
    私共は、子供が家に戻った後の予定があります。」

    「はい、存じておりす。ですが――
    大学部のアン・ダンテをご存知ですか?」
    「お名前は、聞き及んでいます。」
    「そのダンテが、教えたいと言ってきました。」
    「ご冗談でしょう?息子は、趣味で十分です。」
    「勿体無いのですよ。本当に。
    こんなに上達の早い生徒は、いない。しかも、センスがある。
    彼の意見を聞いて、考えてみてくださいませんか?」


    **
      それは、5月の終わり。
      父は、多忙の上、不機嫌だった。

    *
    先生と顔をあわせるなり、父は口を開いた。
    「レッスンの方、これにて終了にさせていただきます。
    当方の方針を曲げてまで遊びに力を注ぐつもりはございませんから。」
    その言葉に、僕の方が驚いてしまった。
    「お約束が違います。父様、あんまりです。」
    「これ、みっともない。」
    席を立ってしまった僕は、父にたしなめられる。
    「ごめんなさい。でも、僕は小学部中は習っても良いと。」
    「そうだな。悪いが、家に帰ってからやるといい。」
    「嫌です。」
    「ロマリオ。」
    父の小さく低い声に、僕は慌てて口を閉じた。

    *
    コンコンコン、ノックの音がして、
    前に一度レッスンを見に来た女の人が入ってきた。
    「先生、遅くなりすみません。外せないレッスンがありましたので。」
    「話を始めていました。」
    「ありがとうございます。」

    女の人は笑顔で、僕を見た。
    そして、父の方を向いた。
    「初めまして。コンコルドさん。
    ご多忙なのに、お呼び出しに応じてくださって、感謝しています。
    私、アン・ダンテと申します。
    インターグレ・ミケール大学部でフルートを教えています。
    よろしくお願い致します。」
    「貴女が、無理を押し付ける張本人ですか。」
    父の嫌味に、ダンテは答えた。
    「褒め言葉ですか、ありがとうございます。
    私、耳は確かですのよ。優秀な子供達を
    埋もれさせておくのは、うつけのすることですわ。
    私の勧誘を断った生徒は、すぐに痛い目を見ますわよ。
    音楽のつながり――いえ全ての力を持って、潰しますわよ。
    貴方の家名を落とす事も簡単なので。おほほほ。」
    ダンテは、小気味よく笑った。

    彼女と対照的に、先生の顔が青ざめた。
    「あの、コンコルドさん。彼女なら、やりかねません。
    最も、恐ろしい方を敵にまわされる事になるでしょう。
    私は、首が危なくなりたくないので、発言を控えます。」
    「何をおしゃる?」
    父の応戦体勢はまだ崩れない。
    「どちらを選びます?
    貴方方が、我慢するだけで、生き延びられますわ。」
    ダンテの赤い唇が、大きく歪んだ。

    **
      怖い。
      それは、僕の内にある鮮やかな赤。

    *
    「では、コンコルド君。大学部で待ってるわ。」
    父は、仕方なく条件を丸呑みして、
    僕らは、ダンテを見送った。

    「ロマリオ。許可はするが、
    嫌になったら、すぐに止めても良い。その時は、すぐに戻れ。」
    父は、面目を潰されてもなお、威厳を保とうとした。
    「はい、父様。」

    *
    結局、大学部に上がるまでダンテは待ってくれなかった。
    僕の為に時間を空けて、レッスン室にやってきた。

    先生よりも早く赤い唇が動く。
    「今のところは、ツ、ツーツ、と歯切れ良く。さ、もう一度。」
    僕は、先生を仰ぐ、
    先生は、ただ頷く。

    「良くなったわよ。もうひと頑張りね。次が楽しみだわ。」
    とダンテは、木漏れ日のように笑った。

    --------------
    <ツブや記>
    アン・ダンテは、執拗なまでに音楽の追求者であった。
    が、表裏がない性格は、学生には人気があった。
    「女性のままでおいておくには勿体無いお方。」と表現した
    大学部在学中のコンコルドは、レッスンで痛い目にあったそうな。
    それでも、腕が確かな教授だけに、尊敬しているのだとか。(笑)
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      | 2009.12.08 Tuesday |   ・// N // | - |

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