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遙かなる時空の中で 夢浮橋(通常版) サンタクロースっているんでしょうか? トーマの心臓 (小学館文庫)




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 w*k
兄アニ^^ MarvelousAQL Inc.さんの
ウェブカレ二次創作ガイドライン
により、画像引用
並びに、現在創作中です

 - * - 

*TFC

古川登志夫さんを応援しています♪
 『あるがまま』という生き方に共感
 してしまった人(私=193)による、
 きまぐれ〜なところです。

   では、早速・・・
   肩の力を抜いて、ひと休み♪
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    | 2020.02.06 Thursday | - | - |

    // N // 106
    14:23
    // 赴くまま omomukumama //

    金曜、夜。 朧月夜。

    「ご馳走様。」
    スエンセンは、カラトリーを行儀良く置いた。
    「旦那様、お下げ致します。」
    「マリア、いつもありがとう。」
    マリアは、片付けに入る。

    妻付のメイドとしてやって来てから、ずっと同じ仕事をしている。
    未だに未婚のままで居るので、
    そろそろ故郷に返してやりたい、と思っているのだが、
    一人では家事が進まないだろう、とスエンセンを気遣っていた。


    「マリア、私も手伝うよ。」

    「駄目です、ソファにでも掛けていてください。」
    「そうかい?君が思う程何も出来ないわけじゃないよ。」
    「いえ、いけません。
    お仕事でお疲れでしょう。ゆっくりなさっていてください。」
    「私よりも、君の方が働き過ぎだよ。」
    「お願いですから、私の小さな幸せを奪わないでください。」
    そこまで言われると、さすがに引き下がるしかない。

    「そうか、仕方ないな。お茶を淹れさせてくれ。後で、飲もう。」
    此れだけは譲れないというスエンセンの言葉に、
    マリアは、しょうがないと首を縦に振った。

    *
    ソーサーの上に、ティーカップを用意し、
    淹れたてのミルクティーを注ぐ。

    「君も、どうぞ。」
    「頂きます。旦那様。」
    マリアは、いつも斜に座る。
    スエンセンの隣は、亡き夫人の場所。
    真正面は、緊張するからだ。
    「体が温まります。今夜もぐっすり眠れそうです。」
    「そう、それは良かった。」
    スエンセンは、微笑んだ。

    **
    土曜、朝。 晴れ時々雷。

    コツコツコツ コツ。
    部屋の前で、足音が止まった。
    ドアのガラス越しで見て、帽子を被った男性だと判る。
    ルイスは、慌ててドアを開けた。
    「教授?」
    「やあ、おはよう。気分はどうかね?」

    部屋に通され、スエンセンはテーブルの上に、バスケットを置いた。
    「マリアが、持たせてくれたんだ。食べてくれると、喜ぶ。」
    「お心遣い嬉しいです。マリアさんによろしくお伝えください。
    それと教授、こんな所にまでお運び頂いて申し訳ないです。」
    「私が好きで来たんだから、気にしないでよろしい。」
    「はい、すみません。」

    「アントニオ、ドアちゃんと閉めとかないと…あ、教授。」
    「おはよう、コンコルド君。」
    「ロマリオ、おはよう。今、来てくださったばかりだ。」
    コンコルドは、ドアをしっかり閉めて、入ってきた。

    「少し休んでいかれませんか?」
    「いや、これで失礼するよ。週明け待ってるからね。」
    「はい。教授、有難うございました。」
    スエンセンは、片手を軽く挙げて、帰っていった。

    *
    「このバスケットどうしたんだい?」
    「ああ、教授からまた差し入れ頂いたんだよ。」
    「このフライ美味しそう。ソースまで有るよ。」
    「ロマリオ、行儀悪いぞ。」
    「ごめん、マリアさんの料理が気になってさ。
    教授と良い感じなのに、結婚したりしないのかな?」
    「不謹慎だぞ。教授は亡くなった奥様一筋だし、
    その奥様に一番可愛がられていた人だから、
    そんな事は思われないよ。」
    ふ〜んとコンコルドは、ルイスを見た。
    「アントニオは、石頭だから困るよ。」
    「なんだとぉ!」
    「ごめん、悪かったって。手を離してくれよ。」

    ルイスは、コンコルドの手を離した。
    「アントニオ。」
    「何?」
    「俺、朝まだ食べてないんだけど…」
    「じゃ、用意手伝えよ。」
    勝手知ったるルイスの部屋、コンコルドは食卓を整える。
    ルイスは、熱い珈琲を淹れ、マグカップに注いだ。
    「いただきま〜す♪」

    **
    日曜、午後。 晴れ一時雨。

    ミケール駅からインターグレに続く一本道には、
    その途中に細い脇道があって、
    林を抜けた奥に、スエンセンの家が建っている。

    コッコッコッ、玄関の真鍮飾りを戸に当てる。
    「こんにちわ、ルイスです。いらっしゃいませんか?」
    「あら、ルイス様、コンコルド様。」
    背後から、声が掛かる。
    「マリアさん、こんにちわ。」
    「バスケットお返しに上がりました。」
    「どうぞ、お入りくださいませ。」
    二人は会釈して、マリアに続いた。

    「旦那様、ルイス様、コンコルド様がお見えです。」
    「いらっしゃい。掛けてくれ給え。」
    二人は、ソファに腰を下ろした。
    「どうされたんです。お荷物お預かりしましょうか?」
    気遣うマリアに答える。
    「いえ、これから必要なので。」
    「旦那様、お茶の支度して参ります。」
    と言って、マリアは奥に入ってしまった。

    *
    マリアは、お茶を出すとすぐワゴンを持った。
    「マリア、君もお掛け。」
    下がろうとした所へ、椅子をあてがわれ、浅く座る。
    「マリアさん、今日私たちはお礼に来ました。」
    「心ばかりの感謝の印です。受け取ってください。」
    「ありがとうございます。勿体無いですわ。」
    小さな包みを受け取り、マリアはほんのり頬を染めた。

    「それから、お好きな曲はおありですか?」
    「すみません、そちらの方はさっぱりわからなくて。」
    「君達、マリアを困らせないでくれ給え。」
    「すみません。私達からマリアさんと教授に、心を込めて。」

    ルイスがヴァイオリンを、コンコルドはフルートを構えた。
    ヴァイオリンの弓で擦られた弦が、空気を揺らす。
    左右の指がフルートの上で、優雅に舞う。
    その、ゆったりとした音が、其々を生かすように交差する。
    静かな優しい旋律が、胸に沁み込んで来る。
    マリアは、目頭をハンカチで押さえた。

    「心を揺さぶる演奏を、ありがとう。
    では、私は君達とマリアの優しさに。」
    スエンセンは、鍵盤の上に置いた指を滑らせる。
    もう二度と弾かないと思っていた
    最愛の妻の為に作った曲をセレクトした。
    妻との出会いが無ければこのような事は、起こらなかっただろう。
    この家に集う全ての者達へ、感謝を込めて…。

    マリアは、スエンセンをじっと見ていた。
    涙が頬を伝うのを構わずに、音を聴いていた。
    ああ、奥様!、と心の中で亡き主人を思い浮かべていた。

    **
    「何か、美味しいトコ教授に持っていかれたような気がするね。」
    「マリアさんを喜ばす事が出来て、良かった。」

    コンコルドとルイスは、
    ミケールの小高い丘の上から、キラキラと輝く夕日を眺めていた。

    繊細な心は、自分のやりたい事の為に必要だが、
    明日からは、些細な事で心を折らない様な自分で居たい
    と、ルイスは考えていた。


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    <ツブや記>
    美味しいものと音楽と、
    優しい心に満たされたなら――それは、至福の味わい(笑)

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      | 2009.10.08 Thursday |   ・// N // | - |

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        | 2020.02.06 Thursday | - | - |