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遙かなる時空の中で 夢浮橋(通常版) サンタクロースっているんでしょうか? トーマの心臓 (小学館文庫)




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 w*k
兄アニ^^ MarvelousAQL Inc.さんの
ウェブカレ二次創作ガイドライン
により、画像引用
並びに、現在創作中です

 - * - 

*TFC

古川登志夫さんを応援しています♪
 『あるがまま』という生き方に共感
 してしまった人(私=193)による、
 きまぐれ〜なところです。

   では、早速・・・
   肩の力を抜いて、ひと休み♪
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    | 2020.02.06 Thursday | - | - |

    // N // 290
    23:29
    // 太陽と森の調べ taiyou to mori no shirabe //

    「おめでとうございます。」
    「先生、きれい!」
    「おめでとう、先生。」
    「ミュラー先生、おめでとうございます。」
    「お幸せに、先生。」

    年齢の違う教え子達が、一言ずつ
    花嫁衣装を身に纏ったアンネットに、言葉を投げる。

    朝早くから、
    ロックシティ地区パブリックスクールの校門は開かれて、
    校区に住まう住人達を迎え入れた。
    結婚式だからといって、取り立てて変わった趣向はない。
    お披露目の意味合いが強い、校庭解放だった。

    時間を掛けて編み込まれた髪の
    左サイドは、白い小花で作られた髪飾り。
    その髪は、ヴェールの中に収められている。
    繊細なレースを幾重にも重ねた
    真っ白なウエディングドレスは、
    地面を引き摺らないように、踝あたりの長けで。
    片手にブーケを持ち、もう一方は、
    新郎の腕に掛かっていた。

    「おじさんも、おめでとう。」
    アンネットの教え子である小さな住人が、パトリシアに言った。
    「ありがとう。」
    ついでの様に感情無く言われて、苦笑する。

    「おじさん、おめでとう。」
    聴き慣れたその声に、振り向く。
    「ジョニー、おじさんは止してください。」
    子供達に翻弄されるパトリシアの情けない有様を見て、
    声の主、診療所の医師ジョンソンは、笑った。

    この地方での結婚式は、人前婚が一般的であったので、
    出席者は、ほぼ町の人達全員。
    沢山の祝福を受け、二人はより笑顔が深まった。

     *
    披露宴会場の"フォレスト"へ、移動する道すがら、
    小さな子供たちは、先生の手を取りたがって、
    とうとうパトリシアは、それを見守る事に。
    ごめんなさい、というアンネットの笑顔は、
    皮肉にも、普段以上に輝いて見えた。

    「おい、花嫁の手、離してどうする。」
    砕石所の親方、ワイスが目敏く言い放つ。
    「良いんです。彼女が大切にしてるものですから。
    ――寂しいとは…」
    「パッドは、馬鹿だなぁ?」
    ワイスは、豪快に笑う。
    「笑わないでください。」
    パトリシアは、いつものように心地よくからかわれていた。

     * *
    フォレストの店内は、このあたりの家と比べると広いが。
    町の人達全員分の椅子を用意できないので、
    今回の会食の基本は、立食パーティーになっている。

    幾つものテーブルを均等に配置し、
    クロスを垂らした会食テーブルの上は、
    小盛りの季節の花のセンターピースを置き、
    その周りに取り皿と、
    ナイフ、フォーク、スプーンなどが並んでいる。

    センタークロスを敷いた料理テーブルには、
    ボブが最も得意とする煮込みをはじめとする郷土料理、
    一口で頂きやすいコンポート、
    女子供が喜びそうな甘いお菓子、喉越しの良い冷菓、など。
    好きなものを、皆が自由に皿の上に乗せ、口に運ぶ。

    アンネットとパトリシアは、各テーブルを回って、
    改めて来場者に挨拶を交わしていく。

    頃合いを見計らったピアノの前のアレクが、
    ひとつ息を吐いて、構える。
    譜面台には、手書きの楽譜が置かれていて、
    まず譜面に無い4小節を、
    それからさっと楽譜の第一音を確かめ、音を奏でていく。

    優雅な印象を与える穏やかな曲に、皆が耳を傾けている。
    ニコがジュニアと呼ばれ、
    ここに居た頃よく弾いていた曲とイメージが重なる。
    そのオリジナルの名残のような曲調であった。

    そして、もう1つの曲――華やかで明るい印象を与える。
    小気味良い音を聴いているだけで、気分は高揚してくる。
    昨夜手渡されたばかりの譜は、
    深夜に一度浚われたと言っても、初見に近い状況下で、
    普段より神経を尖らせながら、アレクは真剣に楽譜を目で追った。

    フォレストのホールに、心地良い音が溢れていく。
    音を花とするならば、その花束は段々ボリュームを増していく。
    そして辺りは花園となり、絶頂の域まで到達する。
    それから、初めの優雅なモチーフに戻って、
    アレクは、鍵盤から手を離した。


    「アレク、凄いわ。あんな指の動き信じられない。」
    アンネットの目が、輝きを増した。
    アレクの指は、
    羽が付いたような軽いタッチで高音を何度も行き交いながら、
    低音域から中音域、鍵盤の全ての鍵を
    猛烈に速いスピードで、滑らかに動き回った。

    「楽しんでもらえたかな?」
    「初めて聴く曲だね。心が豊かになったよ。」
    パトリシアも、感動してるようであった。

    「ニコからだそうだ。」
    「ありがとうございます。感謝します、とお伝えください。」
    「喜んでくれたら、なにより。でも、2度と弾くのはご免だ。」
    と言いながら、珍しく手指を摩っているアレク。
    「おめでとう。二人がいつも笑顔でありますように。」


     * *
    皆に祝福される二人から溢れる笑み、
    フォレストの馴染んだ味と普段無い特別料理に酒に、
    時折奏でられるピアノに酔った。
    それらは、招待客を喜ばせた。

    「うまくいったな。」
    「ああ、上出来だな。」
    「ボブとアレクが居てくれたからな。」
    「それじゃ、おかしいだろ。
    親父も居なくちゃ、うちじゃない。」
    「そうか?ありがとな。」

    うち――フォレストは、親父の店。
    マスターにアレクが成ったからと言って、それは変わらない事。
    パーティーの片付けが終わって、照れたように、親父が言う。

    「嬢ちゃんは、まだ居るのかい?」
    「また、来るって言ってたぜ。」
    「そうか。」
    「今度来る時は、どうだろうな…」

     *
    アレクは、先刻の会話を思い起こしていた。

    「叔父様、ありがとうございました。
    素晴らしい演奏に、うっとりしました。」
    「そう?ありがとう。君は優しいね。――
    あとどれくらい居る?」

    「私は、あと数日滞在していたいのですが、予定があって、
    パトリシア様達のご両親と会わなくてはなりませんから。
    ――叔父様ともっとお話し出来たら、良かったのですが…」
    「構わないでいいよ。俺は、いつでもここに居るから、
    また、おいで。一人でも、うちに泊まると良い。」

    「はい。次にお会いできる日まで、御機嫌よう。
    では、おやすみなさい。」
    「おやすみ、フランソワーズ。
    夜道は暗い、気をつけて帰るんだぞ。」

    会釈した姪の隣には、
    婚約者が居て、少々複雑な気持ちになったアレクだった。

     *
    「じゃ、行こうか?」
    ダニエルの手を取って、フランソワーズは歩く。

    二人が同じ未来を目指す、そう決めた時から、
    ダニエルが置いていた距離は、急速に縮まった。
    仕事以外の事は、話すように心掛けていた。

    「町中の祝福を受けて、お二人はお幸せですね。」
    「そうだね。それだけ多く皆に心開いた彼らが居たからだろうね。
    ――僕達には、こんな奔放な式は、させてもらえ無さそうだ。」
    「本当に。羨ましいわ。」

    互いの環境が許さないのは、承知の上での、素直な感想だった。

    「パトリシアが、幸せで有って欲しい。それだけだ。」
    「はい、私も応援します。」
    「ごめんね。君に迷惑にならないようにするから。」


    --------------
    <ツブや記>
    8章の流れに沿った、287話からの続きの完結です。

    パドンの正式な結婚式は、この後ジュリアス後見で行われます。
    家柄を慮るミュラー家の顔を潰さないために。
     ですが、今は詳しくは紹介しません。(笑)  

    登場人物>>
     ダニエル・ゴードン
     フランソワーズ・シュクール … フラン
     パトリシア・パドン  … パッド
     アンネット・ミュラー … アン
     アレクセイ・イワノフ … アレク
     シュテファン・ガーラント … 親父
     ポビー・ミッテ …ボブ
     ミシェル・ワイス … 親方
     ジョージ・ジョンソン … ジョニー
     他、町の人達
    -----------------
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      | 2012.05.08 Tuesday |   ・// N // | comments(0) |

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