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ウェブカレ二次創作ガイドライン により、画像引用 並びに、現在創作中です - * - *TFC
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// N // 292 00:39
292// 引き継ぎ hikitugi //
「お先に。」 「お疲れさまでした。」 定時を過ぎると、局員が一人、また一人と 仕事の区切りのついた者から帰って行く。 「今夜は私が引き受けようか?フィーリンガード。」 「局長。お任せしてもよろしいかしら?」 「戸締りだけなら。」 フィーリンガードの終わりの無い仕事を引き受けていたら 身が持たないと、事務局長は先に断りを入れ、 教授たちの会議に立ち会っていたジュリアスに向いた。 「申し訳ありません。」 「ゴードンさん、お気になさらずとも。お察しします。」 「局長、突然で悪いですが、明朝話せませんか?」 「私にですか?分かりました。では、皆さんお気をつけて。」 「お疲れ様。」 今日最終の仕事は、場所を変え行われることになり、 局長を残し、彼らは事務局を後にした。 続きを読む >> // N // 291 22:41
291// アッチェレランド sidaini hayaku //
コンコンコン。 失礼しますという声に、顔を上げる。 「スエンセン教授、こんにちは。」 「こんにちは、シュクール君。もう慣れたかい?」 「少しは。」 苦笑いのアルベルトに、 スエンセンは、用意しておいた書類を手渡す。 「先にお願いしていた書類ですね?」 「そうだよ。忙しいだろうが、たまには家にも寄り給え。」 「お誘い、感謝します。が、なかなか帰してもらえません。」 「ラフィー君か。手強そうかな?」 「いえ、私の覚えが悪いので、迷惑を掛けています。」 「そんな事は無いだろうに。でも、無理はいけないよ。 根を詰め過ぎると、体が持たないだろう。 週末、泊まりに来てはどうかね?」 続きを読む >> // N // 290 23:29
// 太陽と森の調べ taiyou to mori no shirabe //
「おめでとうございます。」 「先生、きれい!」 「おめでとう、先生。」 「ミュラー先生、おめでとうございます。」 「お幸せに、先生。」 年齢の違う教え子達が、一言ずつ 花嫁衣装を身に纏ったアンネットに、言葉を投げる。 朝早くから、 ロックシティ地区パブリックスクールの校門は開かれて、 校区に住まう住人達を迎え入れた。 結婚式だからといって、取り立てて変わった趣向はない。 お披露目の意味合いが強い、校庭解放だった。 時間を掛けて編み込まれた髪の 左サイドは、白い小花で作られた髪飾り。 その髪は、ヴェールの中に収められている。 繊細なレースを幾重にも重ねた 真っ白なウエディングドレスは、 地面を引き摺らないように、踝あたりの長けで。 片手にブーケを持ち、もう一方は、 新郎の腕に掛かっていた。 続きを読む >> // N // 289 01:47
289// 月と森の調べ tuki to mori no shirabe //
カランカラン、その音を合図にドアは開く。 「こんばんは。」 「いらっしゃい、パッド。 あしたの料理は打ち合わせ通りで良いかい?」 「派手過ぎなくて良いからね、親父さん。」 「わかってるって。任されたからには、 沢山用意しないとな、アレク。」 「大人数になるだろうからね、今朝から下準備に入ったよ。」 「ありがとう。よろしく頼むよ。」 「あしたが、楽しみだわ。」 「ミュラー先生も、いらっしゃい。」 「こんばんは。」 「こんばんは。お揃いで。いらっしゃいませ。 外に誰か待たせているのか?」 来店したのは、パトリシアとアンネット。 それを出迎えたのが、親父である。 続きを読む >> // N // 288 14:12
288// 二人のために futari no tameni //
「よく来てくださったわ。ありがとう、私達のために。」 アンネットが発した言葉を合図に、 ゴードン家の執事の顔になったパトリシアが、一礼をし言った。 「奥に、お食事の用意をしています。フランソワーズ様。 お召替えが必要なら、お部屋へ先に参りましょうか?」 「部屋は、変わってない?」 それを聞いたダニエルが、口を挟んだ。 「ダニエル様のお部屋を使って頂くように整えています。」 続きを読む >> // N // 287 01:10
287// 帰郷 kikyou //
良く晴れて、雲一つない青空が続いている。 朝乗り込んだ列車は、1時間遅れで1つ手前の駅を出発した。 車窓から、やっと海岸線が見えだした。 ミューズレイの町が近づいている。 * 「お帰り、ダニエル。」 列車を降りると、プラットホームには その地方の一般的な姿をしたパトリシアが待っていた。 「ただいま、パパ。」 かつての少年は、生家を後にしてやって来た。 それから初等教育期間までと、 義務付けられた教育のためにミケールに通う数年の長い休日を、 合わせるとロックシティで暮らした時間の方が長い。 第2の故郷、と言って過言は無い。 続きを読む >> // N // 286 00:03
// 交代2 koutai 2 //
「シュクール社長、お話があります。」 従業員が出社する時間より早く 社長室をノックしたジュリアスは、 開口一番、個人的な願いを切り出す心積りであった。 アドリビの顔である二人が、同じフロアで過ごす時間は、 近頃はかなり減少傾向にある。 この機を逃すと、また先送りになりかねなくもあった。 「お時間を取って頂けませんでしょうか。」 書類上に落としていた目を、ハインリヒはジュリアスに向けた。 * 「掛けたまえ。」 「では、失礼して。」 応接用の椅子に、向かい合って掛ける。 続きを読む >> // N // 285 12:19
// 交代1 koutai 1 //
サウスシュティディ、ゴードン邸。 執務室には、既にジュリアスが居て、 いつもの席にダニエルは腰かけた。 「父上は、ご存じだったのですか?」 「何の事だ?」 「フランソワーズ姫の事です。」 こちらで暮らすようになってから、 どんな些細な事柄でも、話をするようにしていた。 自分で進んで入った道でないと言え、 仕事では上下関係にあり、 帰れば家事の打ち合わせ、 相手の都合を聞けない状態には、なってはいけない、 ふたりは、親子である以上に複合的な関係者であった。 当然、自分の将来も、ゴードンと言う名のもとにあり、 過去に外した枠も、今となっては、半ば無効化していた。 続きを読む >> // N // 284 00:02
// そこに希望あれば…4 soko ni kibou areba ...4 //
背には、フランソワーズが居る。 ダニエルは、抵抗するのをやめた。 自分の前に組まれた指は、 大きな力が入っているのだろう、色さえない。 そっとその手の上に自分の手を重ねる。 「姫、力を抜いてください。」 組まれた指が、そっと解かれる。 「こんなにさせてしまって、申し訳ありません。」 フランソワーズに向き直って、 その両手を優しく包み、手の甲にキスした。 「姫、もう一度。いえ…… 貴女には、私が必要なのでしょうか?」 続きを読む >> // N // 283 12:09
// そこに希望あれば…3 soko ni kibou areba ...3 //
「ダニエル様、お掛けになって。」 「では、失礼して。」 気まずい沈黙が落ちて、ダニエルは目のやり場に困っていた。 ここは、フランソワーズのプライベートルームであり 寝室でもあるのだ。普段よりも慎重にならぬわけにもいかない。 「ダニエル様。」 「何ですか、姫?」 「先程は、失礼な振る舞いをしてしまって、申し訳ありません。」 「そのお言葉は、貴女のお父上に。 私には、構うことはございませんから。」 「でも、……。あの……。 ダニエル様は、私の事が、お嫌いなのですか?」 その言葉に、ダニエルはさらに気まずさを増す。 続きを読む >> |